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知って得する建築知識

高断熱住宅で結露リスクを減らす合理化施工

高断熱住宅で結露リスクを減らす合理化施工

高断熱住宅は内部結露を防ぐために断熱層、防湿層、気密層をそれぞれ連続させる必要がある。日経ホームビルダーの7月号「高断熱の危ない隙間」から、合理的で内部結露を防ぐ施工方法の1つを紹介する。

充填断熱の基本となる防湿気密工法では、建物の内側に張る防湿シートが防湿と気密の役割を果たす。シートを連続させて機能を確保するには、先張り(断熱材の充填前に防湿シートを一部張っておく方法)が必要だが、その手間が敬遠されがちだ。温暖地では防湿シートの袋入りグラスウールの端部を軸組に留めて防湿と気密を兼ねる工法が一般的だ。施工は楽だが気密性には限界がある。

秋田県能代市にある西方設計の社長、西方里見さんは、「面材耐力壁で気密を確保すれば袋入りグラスウールでも高性能化を図れる」と話す。

外周部の耐力壁に面材を用い、面材同士の継ぎ目や面材と軸組の取り合い部に気密パッキンや気密テープを使う方法だ。ここが気密層になる。 

ボード気密で施工中の現場(写真:西方設計)

ボード気密で施工中の現場(写真:西方設計)

 

防湿性を担う袋入りグラスウールは、確実に施工しても床と壁の取り合い部などに隙間が残り、室内の水蒸気が壁内に少し入る恐れがある。

ただ、室内側の防湿シートより透湿抵抗(水蒸気の通しにくさ)が低い面材を通気層側に使えば、壁内の水蒸気は通気層側に常に移動する。「袋入りのグラスウールの場合、面材の透湿抵抗が合板の値ぐらいであれば、壁内が結露することはまれだ。透湿抵抗が非常に高い一部のOSBを面材に使うと、水蒸気が抜けにくくなり、結露のリスクが高くなる」と西方さんは話す。事前にカタログなどで値を確認しておくことが必要だ。

西方さんによれば、気密パッキンと気密テープで得られる気密性は同等で、施工性はテープの方が良い。テープは一般的なアクリル系の製品から接着力の高いものを選定する。

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ボード気密の施工方法(資料:西方設計)

 

壁と屋根や床の取り合い部の断面詳細図。西方設計の図面に日経ホームビルダーが説明を追加(資料:西方設計)

壁と屋根や床の取り合い部の断面詳細図。西方設計の図面に日経ホームビルダーが説明を追加(資料:西方設計)

 

高断熱住宅で結露リスクを減らす合理化施工

天井は桁上で気密

気密層と防湿層を分けることで、設計には自由度が生まれる。「セルローズファイバーなどの吸放出性のある断熱材は、透湿抵抗の低い面材を使えば、温暖地で防湿シートを省ける場合もある」(西方さん)面材の外側に断熱材を追加して付加断熱にすることも可能だ。

求められる施工水準の面で、この工法と相性が良いのが上図の桁上断熱工法だ。桁上に合板を張り、その上に防湿シートを張って気密性と防湿性を確保する。先張りシートや間仕切り部分の気流止めが不要で、電気配線や照明などの貫通部の気密対策を省略できるのがメリットだ。

桁上断熱で施工中の現場(写真:西方設計)

桁上断熱で施工中の現場(写真:西方設計)

 

桁上断熱工法の断面詳細図。西方設計の図面に日経ホームビルダーが説明を追加(資料:西方設計)

桁上断熱工法の断面詳細図。西方設計の図面に日経ホームビルダーが説明を追加(資料:西方設計)

 

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