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知って得する建築知識

今さら聞けない「エコハウス」ってどんな家?

今さら聞けない「エコハウス」ってどんな家?

エコハウス、省エネ住宅、環境共生住宅……近年、よく耳にするようになった言葉ですが、とどのつまり「エコハウス」ってどんな家をいうのでしょうか。

執筆者:井上 恵子(オールアバウト専門家)

 

エコハウスってどんな家?

エコハウス、省エネ住宅、環境共生住宅と聞くと、パッと思いつくのは「省エネ性が高い」「光熱費が安い」ではないでしょうか。本当のところ、「エコハウス」とはどんな家をいうのでしょうか。

エコハウスに関しては、環境省が「エコハウス」の定義を示しています。それによると、ただ「省エネ性が高ければよい」というものではないようです。

根底には「私たちみんなで地球環境保護や省資源につながるような家づくりをしていきましょう」という考えがあり、そのために3つのテーマを掲げ、それに沿ってつくられた家をエコハウスと呼びます。その結果、地球にやさしいだけでなく、省エネ性が高く、光熱費も安くなる家になる、という流れです。

山形エコハウス。環境省の補助を受け、地域の材料を使い、地域の気候風土や特色を盛り込んで建てられた。

山形エコハウス。環境省の補助を受け、地域の材料を使い、地域の気候風土や特色を盛り込んで建てられた。

 

エコハウスの基本
自然エネルギーの活用と地域の材料を使うこと

エコハウスの基本的な考え方は「環境になるべく負担をかけない方法で家を建てること」にあります。例えば日本は縦に長い国なので、住んでいる地域によって暑い、寒い、湿度が高い、雨や雪が多いなどの特性があります。それらの気候風土や敷地条件、住まい方に応じて、自然エネルギーが最大限に活用されること、さらに身近にある地域の材料を使って家を建てること、これがエコハウスの基本です。

エコハウスは「3つのテーマ+1(プラスワン)」

エコハウスでは、上記の基本を踏まえたうえで「3つのテーマ+1(プラスワン)」の家づくりを目標に掲げています。その3つのテーマをご紹介しましょう。

【エコハウス3つのテーマ】

エコハウスには3つのテーマとプラスワンが必要。

エコハウスには3つのテーマとプラスワンが必要。

  • 環境基本性能の確保
  • 自然・再生可能エネルギーの活用
  • エコライフスタイルと住まい方

以上のテーマを基本的な考えとした上で地域の特性を十分に生かした家づくりを目指しています。

それではそれぞれのテーマと、地域の特性を十分に生かした家づくりとは何なのか、見てまいりましょう。

エコハウスのテーマ1:環境基本性能の確保

エコハウスは、以下に書きだした1)~8)の8つの内容が十分に理解され、実践されていることが大切です。これらにより「住まいの基本性能」を確保することで、住まいに必要なエネルギーを最小限におさえることができ、かつ快適な住宅となります。

1)断熱 2)気密 3)日射遮蔽 4)日射導入 5)蓄熱 6)通風 7)換気 8)自然素材

この中で「蓄熱」が今後大事になってくると言われています。木造在来工法の家は特に、今まで蓄熱という考え方があまりなく、せっかくできた熱エネルギーは流出しっぱなしという面がありました。今後は、せっかく得たエネルギーはなるべく蓄え、給湯や暖房に利用するというシステムを活用することが必要になってきます。

エコハウスのテーマ2:自然・再生可能エネルギーの活用

環境基本性能を確保した上で、必要なエネルギーは自然エネルギーを最大限利用し、なるべく化石燃料に頼らないこと。そのためには地域の特性を読み取って、太陽光、太陽熱、風、地中熱、水、バイオマス、温度差を上手に生かす技術や工夫が大切です。 自然エネルギーの活用の例を挙げます。

  • 自然の通風:夏の夜間に外気を取り入れ、室内を涼しくする
  • 昼間光の利用:昼間、なるべく太陽の光を取り入れ、照明器具の使用を控える
  • 太陽光発電:日中に太陽光発電を行い、消費するエネルギーを自己生産する
  • 日射熱利用:窓から日射を取得し蓄熱した熱を夜間に放熱する(冬期)
  • 太陽熱給湯:太陽熱を導入した給湯システムを利用する

また再生可能エネルギーとは、利用しても枯渇することがなく、繰り返し使え、環境に優しいエネルギーのことで、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電をさします。

再生可能エネルギーのひとつ、風力発電。風さえあれば、昼夜問わず発電が可能。

再生可能エネルギーのひとつ、風力発電。風さえあれば、昼夜問わず発電が可能。

エコハウスのテーマ3:エコライフスタイルと住まい方

今日本のエネルギーは家電による消費量がもっとも多く、高負荷になりがちなのはライフスタイルの問題と言われています。せっかくエコハウスをつくっても、住まい方が正しくないとその良さを発揮できません。

繰り返しになりますが、住まい手による意識や行動も非常に大切です。例えば、敷地周辺には日よけのための草木を植えたり、暑い時は窓を開ける、寒い時は一枚羽織るなど、低負荷でありながら快適で健康的な住まい方をするように意識・行動していく必要があります。

エコハウスのテーマに加えて
「地域らしさ」を大切に

地域の気候風土や特色を生かした「地域らしさ」も大切。

地域の気候風土や特色を生かした「地域らしさ」も大切。

以上のように、環境基本性の確保、自然・再生可能エネルギーの活用、エコライフスタイルと住まい方という3つがエコハウスのテーマとなります。

これらのテーマを実現するにあたり、その地域の気候風土や文化に根差したものでなければなりません。例えば県産材である木材を多用する、工法、デザインは昔からある方法を採用するなど、地域の特色を生かしたものであることがエコハウスに求められています。

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