建物で考えておきたい「カビ」に関してまとめてみました (1/4)
★以下、建物で考えておきたい「カビ」に関してまとめてみました。
異常にカビが発生すると人体にも悪影響を及ぼしますし建物本体にも影響があります。常日頃から室内は空気を通してできるだけ清潔にして、床下も換気量をしっかりと取り、又壁は調湿ができるようにしてカビを発生させないことが重要です。快適で健康な、そして長持ちする住宅を考えたときには「カビ」のことをしっかりと考えましょう。一方カビはどんな家でも発生する厄介者でもありますが、それをいかに少なくしていくか、という対策が必要になるでしょう。
家造りアドバイザー 上野 勝
カビの基礎知識
カビの種類
カビは菌類の一種です。通常の細胞の形をなさなず、糸状の多細胞の形状で、コロニーと言われる密集した群生を形成します。カビの種類は、発生する場所や色で区別できます。
- 湿度の高い風呂、キッチンなどにはよく見られるクロカビ
- 滑りを伴う黒色酵母様菌、風呂の目地に見られるフォーマ
- アレルギー症の原因になるススカビ
などが挙げられます。その他湿度の低い所には、
- 塩分や糖分の多い食物に見られるユーロチウム
- 醸造などに使われるコウジカビ
- 成長が早く、冷蔵庫に長く保存している食品に生えるケカビ
- ブルーチーズなどにも使われるアオカビ
などが生えやすいです
カビ発生の条件
カビは自然界で、植物や動物の糞などに見られ、動物の死骸などには細菌が見られ、お互いに住み分けをして、自然の循環機能を担っています。
カビが発生する条件は、カビの種類によって異なります。
普通家庭で見られるカビは、腐敗した食物や人間の分泌物などに付着して、コロニーといわれる群生を形作ります。カビは普通湿気を好み、風呂場や台所に多く見られますが、水分が7.0パーセント以上含まれた場所であれば、成長するため、乾燥した餅やバンでもカビは生えます。
家庭のカビは食物や動物の分泌物に限らず、プラスティックや金属をも栄養素にしてしまいます。
カビは乾燥には弱いですが、低温、高湿度であれば死滅することはなく、温度が戻れば再生して、繁殖します。
カビ発生の原因
カビが発生するには、温度、湿度、栄養素が揃う事が必要です。
常時湿気がある風呂場は、人の垢や油脂が壁や床に付着しているため、カビの格好の住処になります。食物を扱う台所も食物のカスやシンクの水分など、カビの原因となる条件が揃っています。
カビは細菌よりも許容する環境条件が広く、少ない水分しか含んでいない乾物類にも発生します。プラスチックや合成繊維でも、ノミやダニの死骸や糞を栄養分にして、発生する事もあり、不潔にしておくと、思ってもいないところから、二次的な原因でカビは生えてきます。
冷蔵庫も安心して、長い間掃除をしないと、こぼれた食物のカス等にカビの胞子が付着して、気が付くとカビが広がっている場合もあります。
カビの発生場所
カビが発生する条件は、湿度、温度、栄養素です。これらが揃えば、何処でもカビは発生します。
家庭内でカビが最も多く発生する場所は、湿気の多い浴室やキッチンです。寝室やリビングにカビが発生すると人体への影響が大きいので注意する必要が有ります。
また、床下やエアコン内部なども普段あまり目に付きませんが、カビが発生している場合が多いですので意識的に注意するように気をつけましょう。
常時水が使われて湿気が多く、熱湯やガスなどにより、適度の温度が保たれ、栄養となる食物のカスが散乱していれば、カビの温床ともいえます。
意外なところでは、カビが発生しそうもない冷蔵庫のなかでも、保存されている食物などに付着したカビの胞子は、温度が少しでも上がれば発生してしまいます。
人間の触ったカメラやカメラのレンズ、フイルムを手入れもしていないと、人の垢や脂を栄養素としてカビは発生してしまうのです。
人体への影響
カビにはカビ毒といわれる毒性があります。
結核などの細菌が原因の伝染病は良く知られていますが、カビ毒が原因で引き起こされる疾病を真菌症と言い、薬剤投与で免疫力の低下した入院患者が感染する院内感染症は、真菌症の場合が多く、抗生物質が効かないため、死亡するケースもあります。
家庭内で起こるアレルギーも、カビ毒で引き起こされる場合があります。
カビ毒で起こる真菌中毒症は深刻で、カビが発生した食物を食べる事で起こります。真菌中毒症は、肝臓・腎臓などに影響し、機能障害を引き起こすほか、発ガン因子になる場合もあり、注意が必要です。
カビ取剤使用の注意点
カビが発生した場合、普通はカビ取剤を使って除去しますが、カビ取剤は、農薬から転用される製品が多く、カビに対する除去効果も弱くいため上手に使用する必要が有ります。
カビ全般に効果があるカビ取剤は少ないのでカビの種類にあったカビ取剤を選ぶ必要があります。市販のカビ取剤の大部分が水溶性で、風呂場などで使用した場合、継続的な効果は望めません。継続的にカビ取剤を使っていると、カビに抗体が出来て、効力が低下する場合もあります。
基本的には、カビ取剤だけでカビを除去しようとするのではなく、カビの発生したところを、常に清潔に保ち、風を通して乾燥させることで、カビ取剤の効果を上げるようにします。
2013年2月28日 | 湿度・結露・カビ | 建物で考えておきたい「カビ」に関してまとめてみました