HOME > 快適空間創造住宅 > 快適要素を考える

ハイブリッドeハウスの温熱環境デザイン

その他の快適要素を考える

日当たり・明るさ・通風と換気など

(1)明るさ・日当たり・・明るさを考えた窓の位置

窓の位置は、機能と役割を考慮して決める

窓には採光、通風、換気、眺望という役割があります。また、窓は住宅のデザイン上重要なポイントでもあり、形状、色、位置、大きさにより、建物の外観にもアクセントをつけます。

  • 窓の位置は、日あたりのよい南側がベストです。
  • 敷地や隣家との関係を考慮して南側に窓を設けにくい場合は、断熱性の高い窓を北側に設けたり、天窓を設けることで、日射しや風通しを得られます。

採光には様々な工夫が必要です。また、外部の環境や建築上の制約がある場合もあるので、専門家とよく相談しましょう。

■色々な採光の採り方 『出典:YKK AP(株)』
ローサイドライト サイドライト

光を床に導き、落ち着きと安定感をつくりだすとともに、視線を低い中庭に導きます。

ローサイドライト

大きな開口部(窓等)から ゆったりとした光と景観を得ることができます。

サイドライト

ハイサイドライト トップライト

壁上方から光を採り入れ、同時に外の気配を知ることができます。

ハイサイドライト

天井からの光で空間全体が明るくなります。

トップライト

南向きも、北向きも一長一短ある

窓の位置は採光や風通しを考慮し、1居室については2ヶ所の窓が理想です。

  • 窓の位置や大きさは、使い勝手、防犯、プライバシー等も考慮します。
  • 南側の窓は太陽光が入りすぎることがあるので、日射に対する遮熱対策を考慮します。
  • 東、西側の窓は朝・夕は太陽高度が低いため、家の奥まで強い日射しが入ってきます。日射に対する遮蔽対策(西日対策等)を考慮しましょう。
  • 北側は特に断熱性能を考慮する必要があります。断熱性能が低いと結露を起こすこともあります。


『出典:旭硝子(株)板ガラスカンパニー』

天窓(トップライト)は壁面の窓に比べ3倍の明るさが取れるので、直射日光が入らないような位置(例えば北側)に設けるとよいでしょう。特に狭い屋根裏部屋等に設置する場合は夏季の徹底した遮熱対策が必要です。

(2)採光、換気、防犯を考えた窓の位置

採光にも、換気にも、窓は高い位置がベスト

窓は、高い位置に設置すると部屋の奥まで自然光をとり入れやすくなり、換気や通風にも有効です。

また、採光や通風を考慮して、1居室に2箇所の窓が取れると理想です。

採光上の窓の位置


窓の位置が高い方が部屋の奥まで自然光が入る。

 

通風を考えた窓の位置(部屋の平面図)


『出典:東京都健康局 健康快適居住環境の指針』

開口部(窓等)の位置決めには、防犯性も考慮

最近の調査では、泥棒の一戸建住宅への侵入方法の70%は、「ガラスを破り窓から」というデータがあります(警視庁の調査)。このように窓からの侵入被害が多いので、窓の位置を決める場合にも、防犯面から下記のような配慮をする必要があります。

できる限り高い位置に設置します。

  • 外部に植木や塀等足場になるようなものがない位置に設置します。
  • 人目につきにくい位置には、なるべく設置しないようにします。
  • 人が侵入できないサイズ(例:幅が極端に狭い)にします。

■ 一般住宅対象空き巣ねらいの侵入手段(2002年度東京都)


『出典:警視庁ホームページ』

次に、ガラス破りによる侵入を防止する窓の対策を挙げます。

防犯仕様のサッシ(サブロック付きクレセントと補助錠が合計2ヵ所以上ある等)に防犯(合わせ)ガラスをはめ込んだ防犯窓(※)を設置する。

※ 2004年4月に、警察庁等と関係する業界団体で構成した官民合同会議の過去2年間の検討結果が、具体的に「防犯性能の高い建物部品目録」として公表されました。この防犯窓は、その目録に記載されているレベルの製品です。

高い位置にある窓の注意点は?

高い位置の窓は日当たりや採光の面では有利ですが、掃除等のメンテナンス方法もあらかじめ考えておく必要があるでしょう。汚れたまま放置された窓は、見苦しいだけでなく、採光にも影響があります。

(3)窓の数

各部屋2方向に2ヵ所以上の窓が理想的

日本の住宅は、夏の暑さを緩和することを目的に、「開ける」ことで自然の快適さを取り入れることを伝統としてきました。現在でも各部屋の南側はもちろん、東、西、北面、天窓を設け、明るさと通風の確保、湿気の防止等快適環境の維持を図っています。

理想的には、各部屋2方向に2ヵ所以上の窓が適当です。

  • 一戸建て住宅の場合、外壁面積の約1/3が窓面積といわれています。
  • 住宅一戸あたりの平均窓面積(板硝子協会調査)は、一戸建て住宅:31.1m2、共同住宅:13.0m2となっています。
  • 住宅一戸あたりの平均窓数((社)日本サッシ協会調査)は、一戸建て住宅:18.7窓、共同住宅:3.9窓です。

これを標準と考え、窓の数、大きさ、位置を決めていけばよいでしょう。

窓が多いと家全体の断熱性能は下がる

■ 窓の断熱性能(熱の逃げやすさ)


『出典:(社)日本建材産業協会』

窓の数は多いほどよいとは限りません。明るさと通風を確保できれば十分です。

  • 壁は構造上不可欠です。家具等を置くためにも必要です。
  • 窓は壁に比べて断熱性能が1/5~1/2と低いので、窓面積が大きい場合、冬の寒さ、夏の暑さ対策として窓の断熱・遮熱性能を十分に考慮する必要があります。
  • 特に冬季には窓からの熱の流失が48%もあり、床・外壁・屋根に比べると圧倒的に大きくなります。
窓の断熱性能が低いと、室内にひんやりしたゾーンができる


『出典:(社)日本建材産業協会』

冬、暖房していても、窓際にひんやりした冷気を感じるのは、「冷ふく射」という現象。室内にひんやりしたゾーンを作ります。

さらに、空気には、あたたまると上昇し、冷やされると下降する性質があるので、冬の窓面の冷気は下降気流(コールド・ドラフト)を引き起こし、部屋全体に拡散します。

 

以上を注意して窓を決めていく必要があります。ただハイブリッドeハウスでは窓枠やガラスの熱貫流率や断熱、遮熱の金属コーティング(LOW-eガラス)などしっかりと考えて取り入れますので、上記のようなことは考えなくていいでしょう。

(4)窓の大きさ

南側に開放感を生む大きな窓を・・・明かりと開放的で「快適」な反面、熱の侵入に対する高度な知識で窓の選択をすることが大切です。

窓には、採光、通風、換気、眺望という機能があります。日本人は特に大きな窓を好みます。大きな窓を南側に設け、太陽光をさんさんと室内に入れたいという要望が多くあります。

特にリビングを吹き抜けにして大開口部(窓等)を設ける等、デザイン的にも居住的にも開放感のある空間が求められています。

それと同時に冬場の日射取得ということを考えれば、南の窓は大きいほうがいいでしょう。今ドイツなど環境先進国を見ると、建物の南側の窓は非常に大きくなっているのが分かります。

(5)南向き

南向きの窓は照明の節約効果も・・・冬場の日射取得と夏場の日射遮蔽を同時に考えることが重要

南向きの窓は、部屋の隅々まで採光が確保され、照明の使用時間の短縮にもなります。

  • 特に、南側に大きな吹き抜け空間を設けることで採光はもちろん、天井が高く開放的で伸びやかな住まいが実現できます。
  • 東向き、西向き、北向きの窓は、採光や通風を考え、必要以上に大きくすることはやめましょう。断熱、遮熱面で弱点となるため、別に対策が必要になります。
南向きの窓は日射しを遮る工夫が必要

部屋も窓も、すべて南向きにすることは、採光面ではメリットが多いのですが、室内への熱の侵入量が多くなり、夏の冷房費がかさみます。

特に断熱化の進んだ住宅では、いったん室内に熱が侵入すると、外へ逃げにくい構造なので夏には熱を侵入させない対策が必要です。

  • 南向きの窓は、遮熱フィルムをガラスに貼るほか、内付けブラインド、外付けブラインドシャッター、すだれ等で日射しを遮る工夫が必要です。
  • 南側に隣家等がある場合は、あらかじめ日照時間等を考慮し、窓の位置、大きさを決めましょう。
日射遮蔽の比較

内付けブラインド、外付けブラインドシャッター等を使用することで、日射侵入率が低くなります。


『出典:(社)日本建材産業協会』

日射遮蔽の緑のカーテン

ツル性の植物で緑のカーテンを作ることも効果があります。(冬季には枯れて日射しが入るような植物がお薦めです。)

南向きの窓は大きく、その他の窓は必要最小限の大きさに

南向きの窓は、耐力壁(構造上の壁)の配置やプライバシーの確保に支障がない範囲で、可能な限り大きくしましょう。

  • 冬季は日射角度が低くなるので、晴天日には部屋の奥までふんだんな採光と日射熱をとりこむことができ、昼間の暖房エネルギーが節約できます。
  • 下記の通り、冬場の1日の日射量では、南向き窓は、西・東向き窓の2~3倍もあります。

■ 冬季のガラス窓の方位別取得日射量(東京)


『出典:NPO消費者住宅フォーラム』

東向き、西向き、北向きの窓は、採光や通風に必要な最小限の大きさにとどめましょう。

  • これらの方位からは、冬季の日射熱のとりこみがあまり期待できません。特に東西面は、夏季には強い日射が差し込み、冷房エネルギー増加の要因にもなります。 南からの日ざしは部屋の奥まで暖かい
  • ただし、隣地の障害物やプライバシー保護等の問題で南向きに大きな窓がとれない場合は、他方位に窓を設けます。北側の窓から見た景色は、逆光にならないため美しく見えるというメリットがあります。
開口部(窓等)の断熱・遮熱対策が重要

開口部は、壁と比べて断熱性能が1/2~1/5と大きく劣ります。特に、大きな開口部は冬季の夜間には室内の熱流出が大きくなります。

  • 大きな開口部には、断熱性能の高いサッシやガラスを選択するようにしましょう。
  • 窓の内外に雨戸やシャッター、カーテン等を設置し(夜間には閉めて)、熱流出の防止に努めましょう。

最近の断熱化の進んだ住宅は、いったん室内に入った熱は逃げにくい構造となっています。特に南向きの大きな開口部は、夏季には強い日射しの入り口になるので、遮熱対策が必要です。

  • 対策としては、室外の落葉樹、ひさし、すだれ、よしず、オーニング(日よけ)等が有効です。
  • 室内では、ブラインド、カーテンの設置等の工夫も必要です。

北側に設ける「小窓」は、機能を最優先させます。必要最小限の面積で、採光や換気に有効な開閉形式のものを選びましょう。

■ 夏の西日対策


『出典:YKK AP(株)』

(6)照明

明かりは生活を快適にします。省エネを考えて最適な照明器具を選びましょう。

人は寝ている時以外は光の下で生活しています。光のおかげで私たちは安全な活動ができ、快適な生活を過ごす事ができます。夜や日中でも明るさが不足している場合、それを補ってくれるのが照明の明かりです。

また、人の気分はライティング効果で快適に感じたり、不快に感じたりもします。毎日つきあう明かりは、大きな存在感を持った重要なインテリアでもあるのです。

(1) 照明器具の種類

照明器具は目的に応じたくさんの種類が作られています。例えば、以下のように様々な種類が挙げられます。

応接間・居間 シーリング、シャンデリア、ペンダント、スタンド等。
キッチン 専門の天井灯、手元ブラケット、棚下灯等。
サニタリー ミラー灯、防湿洗面灯、防湿浴室灯等。
通路や廊下 廊下天井灯、同ブラケット、足元灯等。
玄関周り デザインを重視した天井灯、ブラケット、スポットライト、足元灯等。
エクステリア 専用のポーチ灯、門柱灯、足元灯、防雨ダウンライト、同スポットライト、庭園灯等。


クリックで拡大 『出典:松下電工(株)』

(2) ランプ(光源)の種類

家庭で使う照明光源ランプは、主に蛍光灯と白熱灯です。それぞれの特長にあわせ、どこで、どのような目的に使うかで選ぶ必要があります。

  • 白熱灯は部屋の暖かい雰囲気を演出するのに優れている半面、寿命と省エネ性では蛍光灯に劣ります。
  • 白熱灯の寿命は蛍光灯の約1/6、消費電力は約3倍になります。
  • 蛍光灯は、省エネ性に非常に優れていますが、感じが硬く冷たい点や、色を美しく見せる演色性の点では白熱灯に劣ります。
  • 蛍光管には、標準の直管・円形管の他にもスリムタイプ、ツインタイプ、ボールタイプ、平行タイプ等多くの種類があります。それぞれ場所と目的にあわせて選びましょう。
  • 最近では、電球型の蛍光灯も登場しています。白熱灯を蛍光灯(暖色電球型)に付け替えると、同じ明るさで省エネが実現できます。
『出典:「かしこい住まい方ガイド」』
■ 白熱灯 ■ 電球型蛍光灯
(3)目的に合わせた照明器具を選ぶ

(4)部屋の広さと明るさの目安
  • 部屋の広さに見合う照明器具を選ぶには、ワット数も参考になりますが、カタログ等に表示されている適用畳数(「○○畳用」)を目安に選択します。

■ 部屋の広さとワット数の目安


『出典:「省エネ性能カタログ 1998年6月版」』

W(ワット)数は、明るさではありません。

よく見られる、60W、100W等の表示ですが、これは消費電力を表しているだけで、明るさを示しているのではありません。同じW数でも、白熱灯より蛍光灯の方が4~5倍明るく、ランプの種類でも変わってきますし、使う器具によっても変わってきます。したがって器具の選定にあたっては、カタログが示す部屋の広さを参考にして決定します。

現在省エネを考えずに何事も考えられない時代になっています。新しい光LED照明も以前からありましたが昨今では住宅用として目覚ましい進歩を遂げています。

(5)新しい光LED照明
LED照明とは

■ LED信号機

  • LED (発光ダイオード)とは、半導体の特性を利用した光源で、従来の白熱灯や蛍光灯とは異なる新しいタイプの明かりです。これまでLEDは、主に表示用ランプ(例えば、信号や家電製品の通電表示ランプなど)や装飾用のランプとして使われてきました。しかし最近では、技術開発が進み、足元灯や誘導灯、手元照明用のペンライト等、さまざまな製品が市販されるようになってきています。
  • 今のところLED照明の価格は他の光源と比べて割高で、用途も限られていますが、今後は、さらに技術開発が進み、より明るく安価な光源となっていくことが期待されます。
 LEDの特徴
  • 白熱灯等の従来光源に比べて、寿命が長いとされています。およそ4万時間。
  • 電気を光に変換する効率が極めて高く、白熱灯約15%、蛍光灯約60%に比し、LEDは90%以上です。
  • 所定角度の範囲で発光するので、光の有効活用が可能です。明るくしたい所だけ照らすので、周囲への光害問題への対策を可能にします。
  • LED製品はいろいろな形状化が可能で、色もある程度選べます。どれも小型化、薄型化が可能なため、デザインする上でも自由度の高いものとなります。

★LED照明の詳細はこちら

(7)通風と換気

換気対策が、「人と家」の健康を守る

従来の住宅は、隙間が多く気密性能が低いため、夏は涼しくても冬は非常に寒いものでした。しかし最近は、夏・冬とも快適で健康な生活をおくれるように断熱・気密性能が強化された住宅が一般化しつつあります。

そこで改めてクローズアップされてきたのが、「通風と換気」の問題です。高気密で隙間のない室内に汚染物質がこもり、人と建物に害を及ぼすのを防ぐ必要があるのです。

換気をきちんと効率よく行うことは、室内の空気が新鮮に保てるだけでなく、室内のゴミや湿気を排出し、室内・外の結露の発生も防止できます。それが「人と家の健康を守る」ことになります。

せっかく暖めた空気を換気により外部に放出することになるので、一見、矛盾しているように見えますが、要は、「断熱・気密・防露・換気」は互いに非常に密接な関係なので、常にバランスを考えながら、計画的に実施しなければならないということなのです。

「シックハウス」対策として、換気設備設置が義務化

平成15年7月に施行された改正建築基準法により、新築の住宅では、シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、すべての居室に機械換気設備の設置が義務化されました。

  • この法律により住宅の場合、例えば、2時間で室内の空気を100%入れ替える容量の換気設備を取り付け、24時間運転する等の対策が必要になりました。
  • キーワード: シックハウス をご参照ください。

■ 24時間換気システムの例


『出典:トステム(株)』

例えば、新築住宅の居室の場合、「換気回数:0.5回/h以上」の機械換気設備(24時間換気システム等)の設置が必要です。

※換気回数0.5回/hとは、1時間で部屋の空気の半分が入れ替わることをいいます。

「計画換気」を実施する

最近では、あらかじめ換気の必要量と経路等を、家全体または部屋ごとに設定して、それを計画通り実施することが必要になりました。これを「計画換気」と呼んでいます。

窓は、自然の風が通り抜ける所に

住宅の窓の主な機能は、下記の3点が挙げられます。

  1. 新鮮な空気(風)を取り入れ、汚れた空気を排出する。
  2. 明るい光と、熱を取り入れる。
  3. 屋外への人や物の出入りに利用する。
  • この内、風通しは 1.となります。室外からの空気(風)量は、窓の数、位置(方位も含む)、大きさにより決まります。
  • 室外から風を取り入れ、室内の温度・湿度をコントロールし、快適な空間を確保することは、省エネルギーにもつながります。また、自然の心地よさが感じられ、健康的であるといえます。
  • 窓を開ければ、常に自然の風が取り入れられるようにしておきましょう。
  • 窓の設置に際しては、風を取り入れやすい方位や位置だけでなく、取り入れた風の抜けていく先(同一の室内で反対側の窓や扉等)も、あらかじめ考えておくことが必要です。

窓の位置は、「眺望や日照だけでなく、通風・換気にも配慮して、南面に大きく、東・西・北面には必要最小限にする」が基本です。

窓があるマイナス点をカバーする

窓を設置することにより、通風・採光・屋外への人や物の出入り等の機能が、居住者にとってマイナスになる場合があります。具体的には、下記の通りです。

マイナス点 対策
余分な熱が出入りする 夏期の日射侵入 窓の遮熱対策
騒音が入る 道路からの自動車騒音 二重窓等による防音対策
屋外から覗かれる 近隣からの覗き 遮蔽物の設置
泥棒が入りやすくなる 窓ガラスを破り侵入 防犯ガラス等の使用による防犯対策

(8)吹き抜け空間

開放感と広さを強調する、吹き抜け空間、でもそれだけの目的ではなく温熱環境を考えた時に必要、と考えることもあります。

家の中の明るさと開放感を高める目的で、吹き抜け空間をとる住宅が増えています。特に、玄関やリビングのスペースを、2階まで吹き抜けにする例が多いようです。

  • 吹き抜けのメリットは、天井の圧迫感がなく伸び伸びとした開放感が味わえることで、狭い室内を広く感じさせる効果があります。
  • 室内の仕切りがなく、風通しの面からも有効です。また、部屋の一部に熱がこもらないので、夏は涼しいという利点があります。
  • 吹き抜けの壁に大きな開口部(天窓を含んだ窓等)を設けることにより、日光をふんだんに取り入れた明るい空間が確保できます。

これらの利点を活かすには、吹き抜けの窓や換気扇の位置・大きさを工夫する必要があります。

  • 気候のよい時期には、1階部分から取り入れた風を室内に循環させて、2階の天井に近い部分から屋外に排出させるという空気の流れができるように、窓や換気扇を配置します。

■ 空気の流れ・夏


『出典:「かしこい建て方ガイド」』

冬に寒さを感じない工夫を

吹き抜けは天井が高く空間が大きいので、冬期には室内の暖かい空気が上部にたまりがちになり、部屋の中央や床面近くでは寒く感じます。

  • 対策として、室内の温度のムラをなくし、寒さを感じないようにする工夫が必要です。
  • そのために、外気に接している屋根・壁・床等をきちんと連続して断熱施工することが必要です。

■ 室内の温度環境(例)


『出典:「省エネ住宅フェアセミナー用資料」』

必要に応じて防音等のメンテナンス対策を
  • 吹き抜け空間では1階と2階の音が伝わりやいので、気になる場合は、個室の防音対策を実施する必要があります(例:子供部屋から出る音の遮断)。
  • 吹き抜け部分の高い位置に取り付けられた窓や照明器具は、あらかじめ掃除や電球の交換等のメンテナンス方法を考えておく必要があります。照明器具については、電動昇降機能付きにすれば1階でメンテナンスができます。
  • ガラスやサッシについては、結露対策を施した断熱タイプを選ぶことをお薦めします。

ページの先頭に戻る