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知って得する建築知識

高断熱の住宅なのに窓が結露する・・・なぜ?

結露は、『暖かい空気が』といっても、冷たい物に比較して暖かい空気という意味です。それが『冷たい物に触れて』結露するわけですが、これも材料の表面温度が問題です。物(材料)はその周囲の気温に同化しようとします。家具もフローリングも、モルタルもサイディングも、サッシもガラスも、周囲の温度が暖かくなれば、それにつれて材料の温度も上がり、周囲の気温が下がれば、材料自体の温度も下がります。

この結果、外気温が零度に近い状態になる時は・・・・

  1. サッシ(アルミは特に)も零度近くの表面温度に下がる
  2. ペアガラスの外側のガラスも、零度近くの表面温度に下がる。
  3. しかし、ペアガラスの室内側は、室内気温に誘導されるので、外側ほど下がりません。しかし、深夜、寝静まると明け方の室温は、断熱性能によって違いがあるとは言え、数度から12~3程度にまで下がります。

次の図は、「飽和水蒸気曲線」ですが、これで結露するかどうかはすぐにわかります。

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(1)から(3)は夏のビールです。

(1)室温20℃で、(2)湿度50%のとき、(2)で得られたポイントを横に伸ばすと、(3)8℃程度で結露します。夏の冷蔵庫から出されたビールは、その表面温度が8℃を下回っていると、その周囲の20℃/50%の空気が触れると、「結露」します。

(4)から(6)はアルミサッシの結露です。

室温が、(4)10度で、(5)湿度50%のとき、(6)だいたい1℃以下の表面温度を持つ物に触れると「結露」します。冷たい外気と暖かい外気の両方がサッシには触れているのですが、冷たい外気の方が勝っているようです。樹脂や木製サッシはアルミのように伝導がよくありませんので、ここらはずいぶんと解消されます。

ところが、ペアガラスは、外側のガラスは、外気温とそのガラスの表面温度が、外気温に近いため結露しません。室内側のガラスも、その表面温度が室温側に近いため、結露しにくいです。(注:材料の表面温度と周囲の温度が近くても、湿度が90%程度まで高くなると結露します)

そして、これを無くすには、アルミサッシをより熱伝導の少ない複合サッシや、樹脂サッシに変えるしか根本的な対策はありません。(要は周囲の気温に影響されにくい窓材料をつかうということ)それでも結露することがある場合は以下のような事に気をつけてください。

  1. 室内の換気を良くする事と水蒸気を外に排出するシステムをしっかりと考える。
  2. 水蒸気の発生をおさえる、室内の湿度が上がりすぎるのを防ぐ。
  3. 物の表面温度(一般的に窓のガラス面やサッシ面)が露点まで下がらないようにする。湿度だけではなくて部屋の温度も大事。
  4. 窓、構造躯体(断熱材などを考えた外皮)の性能を上げる。

 

■結露に関連することをまとめると・・・

結露は、冷たい物が暖かい空気に触れることで、その周囲の空気が冷やされて「露点」に達することで起こります。冷蔵庫から取り出した缶ビール。冬に吐く白い吐息がその代表例です。そして暖かい空気ほど、より多くの水分(湿気、水蒸気)を含むことが出来ます。

■物には湿気を通す性質がある

まず実感出来ない原理ですが、建築材料には、大なり小なり空気中の水分(湿気、水蒸気)を通すという性質があります。その大小を透湿抵抗と言い、数値が高いほど長い間湿気を滞留させ続けます。湿気の時間的な堤防と考えても良いでしょう。

■材料は周囲の温度に同化する

ものの温度を測ると、床や壁材であれ、建具であれ、ソファや家具といったものは、そのものが置かれた温度に同化しようとして、物自体の温度が冷えたり上がったりします。

■結露でも非常に気をつけるべき内部結露!

内部結露は冷蔵庫から取り出した缶ビールの表面に水滴が出来る「表面結露」と変わりなく、建物の壁の中で発生するために「内部結露」と言っている訳ですがこの内部結露は建物の寿命にも大きく関係してくるので大変重要です。ただし内部結露は、地域の気象条件や住まい方によって大きく異なります。石油ストーブをガンガンに焚かないと気が済まない生活だと内部結露のリスクは跳ね上がり、日中洗濯物を室内に干す人は湿気が滞留しがちですが、暖房にエアコンしか使っていなければ逆に過乾燥気味になってしまいます。

■結露対策

結露を防ぐ方法は、先ほど4つのPOINTを書きましたが書き方を変えると

  1. 材料そのものが冷えないようにする
  2. 湿気を含んだ空気そのものを遮断する
  3. それが出来ないなら、湿気を出来る限り入れないようにする
  4. 換気をして室内の中に入った湿気を速やかに排出する

といった4つの方法の中のいくつかが組み合わされて行われています。

■調湿気密シート

調湿気密シートは、寒冷地では必ず用いられますが、上の2)の気体そのものを完全に遮断する方法です。壁の中に湿気が入らないのですから、内部結露のリスクは低下します。ただしこれは冬場に有効ですが夏場は日本の住宅は調湿しなくてはいけません

■外壁通気工法

これは、4)の壁の中に入った湿気を速やかに排出する工法です。サイディングでは必ず取り入れられている工法です。

■透湿抵抗を下げる

構造用の外壁下地は何でも良いというわけではありません。予算の関係もありますがスターウッドやダイライトは透湿抵抗が低く、湿気を早く逃してくれます。次が合板。そしてOSB合板は抵抗値が高いので壁体内結露を考えたときはおすすめできません。

注:透湿抵抗の値は、絶対値ではありません。教材、資料によっては、ある程度記載されている数値に幅があります。また、防湿層付き断熱材、ルーフィングやアスファルトフェルトなど、施工精度に抵抗値が左右されるような材料もあります。

■結露の発生確率論

結局、実験でもあったように、室内20度で湿度60%。外気温0度のときに、合板を貼った試験体では、実験3日目で内部結露が発生した・・・といっても、その様な自然環境は現実には続かないからこそ、温暖地域では、ややアバウトな方法でも内部結露が発生する確率は低いのです。しかし現実には築15年くらい経過した建物のリフォームで外壁をはいでみるとかなりの高い確率で内部にカビが生え黒くなっているのが見受けられますので現実の確率は高いようです。

■気化熱

一旦結露が起こると、その材料の温度は気化熱の関係でなかなか上昇出来ず、内部結露のリスクは一気に高くなります。

 

★結露のことに関して書いてきましたが、自然現象に影響を受けることもありますし 住まう方の意識の面で起きることもあります。なかなか完璧に対応することは出来ないのかもしれませんが、皆さん一人一人がこういったことにも関心を持っていただき、少しでも快適で健康的な生活を送っていただき、又強いては建物が長持ちするように 心から願っています。    

CMシステム鹿児島 上野 勝

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