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結露・カビ・ダニを防ぐ

健康住宅6つのポイント (3)

結露・カビ・ダニを防ぐ

結露はなぜ起こる

結露はなぜ起こるのか。結露を防ぐ方法は。そのためには 結露が起こる原因を知って初めてその対策を講じることが出来るます。

空気には水分が含まれている。

人間の体の60%は水分で出来ていると言われています。空気の中にも水分が存在しています。天気予報でよく言われる湿度○○%と言う言葉が、実はその温度の時、空気中に含まれている水分の割合です。

湿度

天気予報では、湿度○○%と言う表現を使いますが、実際には、ある温度の空気中に含むことが出来る水分の量を100%とし、それに対して何%の量であるかを言っています。それは、それぞれの温度によって空気中に含むことが出来る水分の量は異なっているからです。高温になるほど多くの水分を含むことが出来、低温になるほど少ない水分しか含むことが出来ません。下の表は温度とその温度の空気が含むことが出来る水分の量を表した表です。

図-飽和水蒸気

結露はなぜ起こる。

上の表から、室温18度の時の空気中に含むことが出来る水蒸気の量は約16mmHgという単位ですが、室温が10度に下がると、約10mmHgという量の水分の量しか含むことが出来ません。室温が下がり、その部屋の水分の量に変化がなければ余った約6mmHgの水分は空気中に含むことが出来ず、水滴など目に見える形になって現れてきます。これが、結露という現象です。たとえば、冷凍庫でグラスを入れて冷やし、暖かい部屋に出してしばらくするとと表面にたくさんの水滴が現れます。これは、グラス表面の温度が室温より低く、その周辺の空気は当然0度近くになり、含まれきれない水分がグラスの水滴となって現れる現象と同じです。

結露は二つある。

結露には、目に見えている結露(表面結露)と建物の内部で起こる結露(内部結露)の二つがあります。

表面結露 冷蔵庫から出した物の表面に水滴がつく。朝起きると窓ガラスの表面にびっしり水滴がついている冬、締め切った部屋の中で鍋物やお湯を沸かすと窓などに水滴がつく。これらは全てそのものの表面に発生する表面結露と呼ばれるものです。
内部結露 押入の床や壁のクロスからかびが生え、あるいはじとじと湿気ている。畳をめくると畳の裏面と床がべたべたしている。これら床や壁によく現れる、建物内部から発生してくるもので、内部結露と呼んでいます。
■用語解説
飽和水蒸気量 ある温度の空気が水蒸気を含む限界の量。上の図のカーブが各温度の飽和水蒸気量
露点 ある温度と湿度の時、飽和水蒸気の限界となる温度のこと。その温度より下がると結露が発生する。たとえば、温度28度、湿度80%の時の露点は、約24度。しかし温度28度、湿度60%の時の露点は、約19度と、温度と湿度によって異なってくる。

カビ、結露を防ぐ

結露・カビ・ダニはお友達

結露とカビ・ダニとは、密接な関係を持っています。一般にカビ・ダニ等は、室温20~30度、あるいは湿度60~80%が最もその生育に適した温湿度条件だといわれています。結露の発生する前の状態が続くとカビ・ダニの発生を促していきます。人間は、ある部屋の温度と湿度をエアコン・ストーブ・加湿器あるいは除湿器などを使って制御することが出来ます。 しかし、住宅の部屋全てを制御するには多大な費用がかるため出来ません。また、温度・湿度を制御する時間もその電気代、燃料代を考えるため、ごくわずかな時間でしかありません。もし24時間、温度と湿度を制御できれば、理論的には結露・カビ・ダニの発生は相当少なくすることが出来ます。ではどうやって、エアコンなどの機器を使わずその発生を押さえることが出来るのでしょうか。

温度・湿度計を持つ

人間は体感的に湿度70%を越えると蒸し暑さを感じますが、それ以下だと湿度40%でも60%でもあまり明確にその差を自覚することは出来ません。また、冬の80%の湿度もそれほど不快には感じません。敵を見ずして対策も建てられないように温度・湿度計を持つことは今の状態を知る大事な条件です。その部屋の温度や湿度を常に把握しておくことが、結露対策の第一歩です。3,000円程度の市販の温湿度計の精度はあまり良くありません。同じ製品でも多少の誤差を持っていますが、相対的な目安をつかむだけですから高価な物は必要ありません。安い物でも十分です。

湿度を制する。

温度を制御する事は季節変化を考えれば難しいものです。しかし、結露・カビ・ダニに共通している湿度を制御することはある程度可能です。常に湿度を低く押さえるようにすれば、人間も快適であると同時に結露・カビ・ダニも発生しにくくなります。そのための条件は何でしょうか。

1.湿度とは水蒸気の量

前ページで説明したように、湿度とは空気中の水蒸気(水分)の量の割合です。湿度を制するとは、空気を制する。 水蒸気を制すると読みかえてみましょう。そして、空気と水蒸気の基本的な性質を理解しておきましょう。

2.空気の性質

空気は温度が高くなるほど上に行く性質があります。室温で考えれば、一つの部屋の温度は常に下が低く、天井に高いほど高くなる性質があります。2階建て住宅は床下、1階、2階、屋根裏の順で高くなっています。南向きと北向きの部屋では、日照の関係でその室温も変化しています。冷房・暖房時の室温も床面は低く、天井面は高い温度になっています。

図-温度変化

温度が低いほど空気中に含まれる水蒸気の量が少なくなると言う温度と飽和水蒸気の点から言えば、2階よりは1階、南の部屋よりは北向きの部屋の方が温度が低くなる分、湿気が高くなることになり、結露・カビ・ダニは発生しやすくなります。

3.水蒸気の性質

水をある器に入れれば水平になるように、水蒸気も一定になろうとする性質を持っています。ある部屋で発生した水蒸気はドアの隙間などを通って他の部屋にも流れていき、全体として一定になろうとする性格があります。

図-水蒸気分布

水蒸気が平準化すると言うことは、いかに水蒸気を早く外に逃がすかということです。換気している部屋の水蒸気は外に放出されますが、押入など一度拡散された水蒸気が部屋ごと締め切っているとその部屋の水蒸気は残ったままになってしまいます。

おさらい
原因 現象
●空気が水を含まれなくなると結露は発生する。
●温度が低いほど、空気に含まれる水分の量は少なくなる。
これが室温の低い北側の部屋に結露・カビ・ダニが発生しやすい原因。
うまく換気をしないと冬の暖房を止めた後の結露が発生する原因です。
●空気を制するとは、部屋の隅々まで空気が流れるような換気を考えること。 締め切った押入、納戸に結露やカビが発生しやすい原因です。
●水蒸気を制するとは、発生した水蒸気を早く外に出すこと。 換気をせずに、洗濯物を室内に干したり、石油ストーブ・加湿器を使うと結露が発生しやすくなります。

●空気と水蒸気を制するとカビ・ダニの育成も押さえられる。結露まで至らなくても、カビ・ダニの格好の育成条件を与えることになってしまいます。(カビ・ダニはこれ以外にこまめな掃除も必要です)

出典:住まいの水先案内人

(2)カビ対策をどうする!

適切なカビ対策で、快適な住環境を

高温多湿な日本の住宅は、カビが繁殖しやすい環境です。

  • 住居内にカビが発生すると、気管支喘息等のアレルギー性疾患や、時には皮膚や内臓の感染症を引き起こすこともあります。
  • カビはダニのえさにもなります。カビの発生はダニの繁殖の原因にもなり、アレルギーも引き起こすこともあります。
  • 健康な生活をおくるために、室内にカビの生えにくい住環境づくりを心がけましょう。
カビが好む環境
1.温度 20~35℃
2.湿度 70%以上
3.栄養源 結露水・垢・食物・壁紙・壁紙の糊・加湿器の水等

■ カビの発生条件


『出典:松下電器産業(株)』

■ 過去3年間にカビの発生した場所


『出典:東京都健康局』

室内の湿気対策が重要!

■ 家具と壁の間や押入れの中に空間を設けます


『出典:(株)ホームクリップ』

今の新築住宅ではこのようなことは起きないのが標準になって欲しいものですが、まだまだあると聞きます。気密断熱が高まるとこのようなことが考えられますので、しっかりとした考え方と施工でこんなことは無いようにしたいものです。

最近は住宅の断熱性や気密性の向上等により、湿度の高い梅雨時だけでなく、年間を通してカビ発生の危険性が高まっています。

  • アルミサッシの普及等で住宅の気密性が高まっているため、換気計画なしに冬場、室内の酸素で燃焼する開放型ストーブを長時間使用すると、燃焼ガス中の水蒸気の影響で室内に結露が生じます。
  • 結露は、室内の温度の低い場所、空気の滞っている場所で発生しやすくなります。例えば、窓ガラスや家具の後ろ、押入れ等です。
  • 日ごろ目に触れない場所での結露はカビの温床になりやすく、気づかないうちに進行しています。そこで、空気が通りやすいように空間を設けておくことが必要です。

アレルギー対策

アレルギー対策では、ダニ対策が重要

アレルギーの原因物質であるアレルゲンには、食物として体内に入る「食物アレルゲン」、と空気を吸い込んで体内に入る「吸入性アレルゲン」があります。住宅内のアレルギー原因物質である「吸入性アレルゲン」には、以下のようなものがあります。

  1. ハウスダスト
  2. ダニ
  3. カビ(※)
  4. 花粉
  5. ペットの毛やフケ
  6. その他(繊維のクズ、ソバガラ等)

このうち、最も注意が必要なのがダニです。最近、室内の高温・多湿化によりダニの種類や数が増えています。ダニは生きているダニそのものの他に、フンや死骸もアレルギー症状の原因となるため、アレルギー性皮膚炎やぜんそく等を含め、アレルギー症状や疾患の80%程度がダニに関連しているといわれています。

対策としては、掃除して除去するだけでなく、ダニの増える条件である結露、高湿度、食べカス等のえさとなるものを除去することが大切です。

対策の基本はこまめな掃除
ハウスダスト対策
  • 室内の整理整頓に努め、ホコリを溜めないようにしましょう。
  • こまめな清掃が一番の対策です。
  • 換気も十分行いましょう。
ダニ対策
  • ダニの増える条件である湿気やカビ、食べカス等の餌を除去することが重要です。
  • 掃除、換気と除湿がポイントになります。
  • カーペットや畳、ソファーやぬいぐるみにも掃除機をかけましょう。
  • 布団も掃除機をかけると効果があります。
  • ペットはなるべく家の中で飼わないことが望ましいでしょう。飼う場合は十分な手入れが欠かせません。
花粉対策
  • 花粉が室内に侵入するのを防ぎます。
  • 外に干した洗濯物や、外出時着用した服は花粉をよくはらい落としてから室内に入れます。
  • 外出時にはマスクをしましょう。
  • 空気清浄機の利用も有効です。
ペットの毛、フケ対策
  • 飼い主の生活とペットの生活はしっかり区別し、同じベッドで眠ったりすることは避けましょう。
  • ブラッシングやトイレ等の世話はこまめに行いましょう。犬や猫は最低でも1ヶ月に1度はシャンプーしてあげましょう。
  • 掃除機だけでなく粘着テープ等を活用して、毛やフケの掃除をしっかり行いましょう。

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