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暖房器具比較~暖房器具の賢い選び方~ (3/11)

室温と体感温度の違い

温度計を見てみると十分暖かい温度になっているのになぜか部屋が寒いと感じてしまうということがありませんか?これは人が感じる温度(体感温度)は室温(気温)だけで決まるものではないためです。ここでは、それらの違いを体感温度を高めるポイントを解説していきます。

室温の上昇と体感温度について

人間は室温(気温)だけで温度を感じるわけではありません。例えば、真夏の20度は涼しいと感じるのに、真冬の20度は暖かいと感じます。このように人間の気温の感じ方について様々な変数があり、気温(室温)というのはその要素の一つに過ぎません。

一般的に体感温度を左右するものとして湿度、風速が挙げられますが、暖房の場合は、壁面温度(床面温度)も大きく影響します。

湿度については、低温下では体感温度にほとんど影響を与えませんが、気温が高くなると影響度が大きくなります。例えば気温5度の場合、湿度20%が40%になってもあまり体感温度は上がりません。

風速については暖房の種類によっては多少影響があるかもしれませんが、ほとんど0と考えても良いでしょう。

最後に壁面温度(床面温度)についてですが、室内の暖房の場合かなり大きな影響を受けます。例えば同じ室温でも、冷たい窓ガラスのそばと部屋の中央では暖かさは全然違うと思います。気温については測定したらほとんど変わらないと思います。

一般的に主流とされる暖房器具である「エアコン」「ファンヒーター」類については暖房の種類としては「空気を暖める」対流式と呼ばれる暖房器具です。この場合部屋の気温自体は上昇しやすいのですが、壁や床を暖める力はありません。そのため、室温が高いのに寒い!と感じてしまうこともあるわけです。

つまり、体感温度を上げるのであれば、床や壁面を暖めてあげると良いわけですね。こうしたときに使えるのが輻射熱を使うタイプの暖房器具です。いわゆる遠赤外線などの熱線で、空気ではなく物体を温める暖房器具です。こうした暖房器具は空気ではなく、物体を暖めますので、部屋の壁や床などを暖めることにより体感温度がアップします。

また、ホットカーペットや床暖房のように床が暖かくなるのも同じように体感温度をアップさせることができます。

 

高気密住宅と暖房の注意点

最近はマンションや一戸建てでも高気密設計となっている住宅が増えてきました。しかし、こうした住宅において問題になるのが結露の問題と換気の問題が発生します。ここでは、こうした高気密住宅における暖房器具使用に関する疑問と注意点に回答していきます。

高気密・高断熱住宅と暖房について

最近増えている高気密・高断熱住宅については、高気密であるゆえ、換気能力が低いという点が挙げられます。そのため暖房の面で以下の点を注意する必要があります。

  1. 湿気が逃げ切れないため温度変化により結露が起こりやすい
  2. 汚れた空気が逃げにくいため換気の必要性がより重要になる
湿気が逃げ切れないため温度変化により結露が起こりやすい

高気密住宅の場合、当然気密性が高いため、内外の空気の入れ替えが起こりにくく、そのため、室内の湿気も外に逃げにくいという性質があります。「エアコンは空気が乾燥する?」の項目でも説明しましたが、気温が上昇すると空気に含むことができる水分量は増加し、低下すると減少します。

そのため、高気密住宅でエアコン等により室温を上げて、乾燥対策の為に加湿器で湿度を保った場合、その後暖房を切って部屋が冷えた場合、飽和水蒸気量が減少することにより多量の結露を引き起こす可能性が高くなります。

対策としては以下のようなものが挙げられます。

  • 水蒸気が発生する石油式・ガス式の暖房器具を使わない。
  • 壁や窓ガラスに断熱性能の高いものを利用する(温度差を小さくする)。
  • オイルヒーターなど輻射熱が発生する暖房器具を使い室温を上げ過ぎない。

 

汚れた空気が逃げにくいため換気の必要性がより重要になる

高気密住宅の場合、換気性能が低い場合空気の入れ替えがスムーズに行かない場合があります。こうした状況の場合、空気を汚すタイプの暖房器具を使うと一酸化中毒等のリスクを高めます。

例えば、石油ストーブや石油ファンヒーターなどは定期的な換気を必要としていますが、この換気の頻度は高気密住宅の方がそうでない住宅よりも多くする必要があります。多くの高気密住宅の場合機械式の24時間換気システムなどがある場合もありますが、ついていても換気能力が十分出ない場合は、こうした中毒を起こすリスクがあるわけです。

対策としては、そもそも空気を汚さなければ換気の必要性も小さくなるので、電気式の暖房器具を使うなど空気をクリーンに保つようにしましょう。

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